「永遠の少女」 6
無意識の世界は、古典劇が演じられるところだというのは、フロイトが、ソフォクレスの『オイディプス王』の主題をそこからとりだしたことでも証明されます。
ユングによれば、無意識そのものは、神話やお伽話の主題が溢れだすところなのです。
つまり、モモは、その無意識の世界への出入口である古代の円形劇場に、忽然として姿をあらわした永遠の少女なのだということができます。
モモはそこで近所の人たちに、いささかとまどいを与えながらも、心よく受け入れられます。
モモという存在が、暗やみの中からあらわれて、人々の意識の中に受け入れられたわけです。
そうすると、近所の人たちは、この子が来たことをとても幸福に思うようになります。
それまで、彼女なしでどうして生きてこられたのか不思議なくらい、役に立つことを発見するのです。
というのも、彼女と話をすると、モモは別になにも答えないで、じっとひとの話を聞くだけなのに、その話をした人は、自分のどこにそんなものがひそんでいたかとおどろくような考えが、すうっとうかびあがってくるのだといいます。